2005年11月29日火曜日

強くなるために必要な事と少しの誇張。

僕が4K.Grubbyを知った時、彼は既に世界の頂点にいた。
けれども今ほど高い位置にいたわけではなかった。





その頃のGrubbyはdeadmanというロシア人と欧州最強の椅子を争っていた。

deadmanという人間は、一言で言うと犯罪者だ。
マップハックツールを使ってアカウント停止措置を何度も喰らったという経歴の持ち主で、筋金入りの極悪人だ。当時から今に至るまで、世界中のWC3プレイヤーから嫌われまくってきたプレイヤーであり、WarCraft3界のキングオブイービルである。だから僕はdeadmanが物凄く好きなのである。

対してGrubbyも非常に素行不良で有名なプレイヤーである。各地のBBSでやんちゃをしたり、チャットで喧嘩をおっぱじめたりと、行儀の良い人間ではない。だから僕はGrubbyが物凄く嫌いなのである。


その、当時世界の頂点にいたGrubbyとdeadmanという2人のバカは、いくつかの重要な大会の重要な試合で何度か戦った。そして世界中のマップハッカーに対する怒りの声援を背に受けたGrubbyはその期待に応え、毎回毎回deadmanを粉々に粉砕し続けた。それはもう、完膚無きまでに。4K.Grubbyの伝説は、deadmanの息の根を止めた英雄として始まったのである。

以後、deadmanは鈍く輝く事しか出来なくなった。deadmanがマップハックをしてまで勝ち続けることで溜め込んだ貯金は全てGrubbyが持ち去ったのである。




Grubbyの所属する4K(Four Kings)というチームは当時、それほど強いチームではなかった。5vs5のチーム戦で行われるWarCraft3Leagueという大会において、4Kは3-2や4-1という際どいスコアを繰り返し、時として2-3という形であっさりと順位表では下位に位置するチームに敗れたりしていた。

何故ならば、当時の4KはGrubbyのワンマンチームだったからだ。




それでも4Kは勝ち続けた。
いや、Grubbyは勝ち続けた。
リーグ戦ではそれなりに負けていても、プレイオフではGrubbyが絶対的な強さを発揮し、1vs1で1勝、2vs2で1勝と、Grubby1人で2勝をあげ、残りの3試合で誰かが勝てばチームは勝利する、という状況を作り出し続けた。


そして、4Kは栄光を手にし続けた。
いや、Grubbyは栄光を手にし続けた。




そんな中で4Kには「Grubbyだけのチーム」という嘲りが常に付きまとった。
当時の2vs2におけるGrubbyのタッグパートナーは素人目にも明らかに物凄く弱いプレイヤーで、プロリーグで優勝を飾るようなチームで戦えるような実力は無かった。けれども、Grubbyはその誰よりも弱いチームメイトと共に、「2vs2でも世界最強はGrubbyだ」と誰もが認めざるを得ない活躍をし続けた。誰もGrubbyを止めることは出来なかった。




ある時、Grubbyがチームメイトの試合を観戦していると、共に観戦していたプロゲーマーの1人が言った。

「4Kのメンバーは楽で良いよな。」
「3試合で一勝するだけで金が稼げるのだから」

Grubbyは激怒した。
本当に怒っていたのかどうかは知らない。
けれどもGrubbyはしばらくの間、チームメイトをえらい剣幕で褒め続けた。

僕はますますGrubbyが嫌いになった。




ある時、Grubbyがチームメイトの試合を観戦していると、共に観戦していたプロゲーマーの1人が言った。

「(2vs2のGrubbyのタッグパートナー)は、雑魚だ。」

Grubbyは即座に言った。
「彼は世界で最も優れた2vs2プレイヤーだ。」
「なんなら、このあとですぐにやってみるかい?」

そこには、2vs2のGrubbyのタッグパートナーもいた。
僕はますますGrubbyが嫌いになった。








それからしばらくして、MaD_Frogというプレイヤーが世界の頂点に躍り出た。

韓国に招待されたMaD_Frogは、欧州よりもレベルが高い韓国の並み居る強豪を相手に奇跡的な成績を収めて欧州に帰国した。




それは正しく、凱旋帰国だった。
誰もがMaD_Frogの時代が来たと考えた。

欧州に凱旋帰国したMaD_Frogは鬼神の如き強さで勝ち続けた。それは、正しくグロ画像のような強さだった。当時MaD_Frogのゲームを観戦していた欧州のプロゲーマーの1人が動揺して「これ、どうやったら勝てるのだ?」と言ったが、誰もそれに言葉を返せず黙り込んでしまった。通夜のような重い沈黙が欧州を覆った。

MaD_Frogに敗れたプロゲーマーまでもが「ちょっと待ってくれ、それどうやったら戦えるのだ?」とMaD_Frog本人に問いかけてしまうくらいだった。そう、当時のMaD_Frogは戦う事すら許されない位に強かった。対戦相手の心を完全に折ってしまう程に、全てコールドゲームで勝ち続けた。

それは正しく、悪夢の到来だった。
誰もがMaD_Frogの時代が来てしまったと考えた。

誰もが思った。
Grubbyの時代は終わったと。
deadmanという巨悪を葬ったヒーローの時代は終わってしまったのだと。




MaD_FrogとGrubbyのどちらが強いかなんて事は、誰も語ろうとはしなかった。
もう、結果は見えていた。それ程までにMaD_Frogは圧倒的だった。

そして、両者は遂に相まみえる。
それも、プロゲームの大会の決勝戦という場で。

試合形式は三本先取した方が勝ち。
人々が注目したのはどちらが勝つかではなくて、MaD_Frogがどのように勝つかだった。いつものように相手に試合を成立させないままで勝ってしまうのか、Grubbyが辛うじて試合を成立させる事が出来るのか。それだけが注目されていた。MaD_Frogの勝利は約束されていた。




Grubby(オーク)対MaD_Frog(アンデッド)の幕が開けた。

MaD_Frogは圧倒的だった。
Grubbyの操るユニットは何も出来ずに片っ端から死んでいった。
Grubbyの操るヒーローは蘇る度に悲鳴と共に昇天していった。

もはやその空気は試合のものではなかった。
偉大なるヒーローの追悼イベントだった。
Grubbyは何も出来ずに一本目を失った。




2試合目もMaD_Frogは圧倒的だった。
韓国という虎の穴で完成させられたその強さは本物だった。

Grubbyは何も出来ずに負けた。
見ている誰もがそれからしばらくすれば、MaD_Frogの戦い方が欧州を席巻するだろうと考えて、「明日は我が身」と死に行くGrubbyの姿を怯えながら見続けていた。Grubbyに煮え湯を飲まされ続けてきた欧州のトッププロ達は、MaD_Frogと同じ種族を使ってMaD_Frogのスタイルをコピーすれば「俺でもあのGrubbyをゴミ扱い出来るのだ」、と誰もが考え始めていた。

Grubbyは何も出来ずに2本目を失った。




けれども、GrubbyはGrubbyだった。
残念なことにMaD_Frogはその他大勢でしかなかった。

2-0とMaD_Frogが王手を掛けた三試合目、誰もが目を疑う光景がそこにはあった。
Grubbyは、凱旋帰国からその試合まで相手にゲームをさせずに連勝街道をひた走ってきたMaD_Frogにゲームをさせずに完勝した。何が起こったか理解している人は世界中でたった1人、Grubbyだけだった。「まぐれだ」誰かが言った。世界中がそう考えた。




4試合目。
Grubbyは圧倒的だった。
世界中がとろけていった。

あの、MaD_Frogが何も出来ずに負けてゆく。
目の前で何が起こっているのか、誰も理解出来ていなかった。




何よりもそれを理解できていなかったのはMaD_Frog本人だった。
負けるはずがないマッチアップ、負けるはずが無い相手、事実スコアは2-0。
栄光はMaD_Frogの手中にあった。

4試合目の趨勢が誰の目にも明らかになった時、MaD_Frogは言った。
「5試合目はお互いの種族を逆にしてやろうぜ」

OVER。
「なあ、5試合目はお互いの種族を逆にしてやらないか?」

全ては終わった。
「4K.Grubby、5試合目はお互いの種族を逆にしてやってみないか?」














欧州に平和が戻った。
王の座にはGrubbyがいた。
彼はみんなのヒーローで、何度も何度も大きな大会の重要な試合でゾンビのように蘇っては復活を目指してしつこく、しつこくvsGrubbyへと辿り着き続けてきたdeadmanを、毎回毎回ストレートで打ち破り続けた。人々は笑顔を取り戻した。deadman lol。幸せな時代だった。

1つの悪夢が訪れるまでは。






それは、本物の悪夢だった。
誰もが目を疑った。




プロゲームというのは、過酷な世界である。
試合のリプレイが一瞬にして世界中に広まり、そのキーボードの細かい操作や、作戦の手順、あるいは傾向までが全て筒抜けになる。強いプレイヤーの作戦は世界中のプロゲーマーから研究され、穴を見つけられ、あるいはコピーされて広まる内に誰かが対策を思いつき、といった形で飲み込まれてゆく。

Grubbyはその過酷な生存競争を生き延び続けた。
彼の所属する4K(FourKings)というチームには少しずつ、強いプレイヤーが加わって行った。

他のチームもGrubbyの栄光を黙って見ていたわけではない。
4Kというチームはその貧弱なウェブサイトと所属プロの少なさを見てもわかるように、そんなに大きな資金力はない。Grubbyがいなければ、凡百の弱小チームだったし、今もそうだっただろう。4KはWC3Lで勝ち続けてはいたものの、誰もが認めるような世界のトップクラスのプレイヤーを補強する事は出来なかった。

それでもGrubbyはチームメイトの事を「彼は強い」「彼らは強い」と言い続けた。誰もがそれに反論をしたかったが、WC3Lという大舞台で4Kは勝ち続けていたが為に、文句を言う事が出来なかった。Grubbyは1vs1と2vs2の2勝を4Kにもたらし続けていた。




どのような補強をしても4Kの後塵を拝し続けたライバルチームは遂に、禁断の扉に手を掛けた。韓国である。WC3Lは一夜にして、韓国人の晴れ舞台と化した。山を越え、海を越え、世界中から化け物共が集結した。sprit"チャンピオン"moon。100戦100勝sweet。挙げればきりがない。時差の関係上あまり参加して来なかった国の強豪達も韓国人の後を追うようにして次から次へと契約していった。Grubbyはそれでも強かったが、4Kはあっという間に埋もれ、中堅以下の弱小チームへと成り下がった。

Grubbyは終わらない、けれども4Kは終わった。
誰もがそう口にするようになった。

「これが本当の世界のトップリーグだ」
これまでは餓鬼のお遊戯、ここからが本物の闘いだとばかりに人々は胸を躍らせた。




悪夢はそんな時に訪れた。

Zacard。
Grubbyと同じオークという種族の使い手である彼は韓国最強という称号を手にした。

それは、世界最強という称号を意味していた。
そして「世界最強オーク=Grubby」という定義の崩壊を意味していた。

誰もZacardを止められなかった。
人々はZacardをGrubby2.0だと考えた。

事実ZacardはGrubbyより操作量が多く、Grubbyよりも繊細で、Grubbyよりも丁寧で、Grubbyよりも大胆で、Grubbyより修羅場を潜ってきており、Grubbyより名のある相手を倒していた。

「Grubbyの時代は終わっていない」
人々はそのようにGrubbyを弁護した。

欧州はGrubby、AsiaはZacard。
それでいいじゃないかと、物事を丸く収めようとした。




けれども、世界は1つである。
GrubbyとZacardは同じ大会にエントリーし、同じように圧倒的な強さで勝ち進み、同じように決勝戦に駒を進めた。オーク対オーク。欧州対韓国。欧州最強対世界最強。

結果は3−0でGrubby。
「どうしてGrubbyは勝ったのか?」世界中で論争が行われた。けれども誰1人としてそれに対する明確な答えを出せずにいた。そうして人々はその3-0という結果を理解する事を諦めた。考えるのを止めたのだ。「Grubbyだから。」他の理由は見つからなかった。他に言葉はいらなかった。

それ以降、それまでは"絶対に傷のつかないプレイヤー"だったZacardはチームにとって重要な試合で勝てなくなったし、格下のニューカマー相手に頻繁に星を落とすようになった。どこにでもいる凡百のプレイヤーへと成り下がってしまったのである。魔法は解けて、悪夢は去ったのだ。




悪夢は去ったが、4Kの死は確定していた。
韓国人の草刈り場となったWC3Lで、他より遙かに見劣りする4Kの面子が勝ち星を拾い続けられる可能性はまったく無かった。何よりエースのGrubbyですら勝算の薄い強豪が大勢流入していた。

4Kのライバルチームは、オフラインで行われるプレイオフ(決勝大会)に韓国人を呼び寄せる事くらい簡単に出来るだけの資金力を有していた。4Kは終わった。




そう、4Kは終わった。
誰もがそう思った。

あの頃は良かった。
人々は昔を懐かしんだ。

けれども終わったのは4Kではなくて、deadmanの所属するaTだった。




誰がaTを終わらせたのかって?
そんなの、言わなくたってわかるだろう。

綺羅星の如きタレントを世界中から掻き集めたaTを終わらせた男。
それが、かの、aT.deadmanだ。




極悪人deadmanを抱えたaTは、deadmanが引き起こす数々のトラブルにより空中分解した。傷心のMaD_Frogが色に溺れて行方知れずとなってからも、欧州のトップ戦線で悪童っぷりを発揮し続け、Grubbyには相変わらず負け続けるも地味な進化を続けて強豪と呼ばれる地位に居続けていたdeadmanを欲しがるチームはいくつも有り、彼は再就職先を手に入れた。

けれども、deadmanほどの名前を持たない同僚の幾人かの所属は宙に浮いた。




韓国屈指のアンデッド使いaT.FoV。
次第に頭角を現し始めていたフランス人のヒューマン使いaT.ToD。

そんな彼らを拾ったチームがあった。
Grubby率いる4Kである。




誰も、そう、誰もFoVを止められなかった。
Grubbyとトレーニングを続けたFoVを止められなかった。

GrubbyはToDのトッププロという肩書きをすぐに剥がした。
ToDは欧州最強ヒューマンとして名実共に誰もが認める存在となった。

なったのではない。
Grubbyがそうしたのである。




自分よりも遙かに格下で、ライバルチームのメンバーよりも遙かに安価な選手を率いてWC3Lを取り続けてきたGrubbyにとって、過去のメンバーとは段違いの才能を所持しているFoVとToDというチームメイトを強くする事など簡単な事だったのだろう。もう誰も4Kを止める事は出来なくなった。










先日、WC3Lシーズン8の決勝戦が行われた。

FoVはスケジュールが合わず、4KはFoV抜きでプレイオフに挑んだ。4Kのアクシデントはそれだけではなかった。チームメイトの1人が選手登録後に参加出来なくなり、全5試合で行われるWC3Lのプレイオフで4Kは、1本失った状態で始まるという不利を受けた。


しかも、GrubbyとToDに続く三人目のプレイヤー、Zeusはプレイオフに駒を進めた他のチームの強豪よりは実力的にはかなり格下だった。Zeusが4Kに加入したいきさつはよく知らない。あまりWarCraft3の盛んではないクロアチアの選手だから、先進国のプレイヤーよりも獲得しやすかったのかもしれないし、操作量の多さを見込んで育てるつもりで獲得したのかもしれない。まあ、よくしらないが、とにかくZeusが勝ち星を拾える可能性はかなり低かった。




4Kが優勝する方法はただ1つ。

Grubbyの1vs1。
ToDの1vs1。
Grubby&ToDの2vs2。

その3試合で勝ち続ける事。
2人きりのプレイオフが始まった。







当然の如く、Grubbyは勝った。
1vs1は2-0。
2vs2も2-0。
誰も驚かなかった。




そして、ToDは負けた。
4K.ToD vs mYm.Hanbit.Storm。
相手はmYmという欧州のチームとHanbitというチームが合体して出来たmYm.Hanbit。

スコアは1-2。
選手はStrom。
もちろんkorean。
誰も驚かなかった。




無論、Zeusも負けた。
相手は当然韓国人。
誰も驚かなかったがフォーラムは荒れていた。
「Zeusは良いプレイヤーだが、4Kには相応しくない」もちろん僕も頷いた。




FoVを招けず、チームメイトが1人現れずデフォルトで一敗が付き、Zeusは戦力にならない4K。対するmYm.Hanbitは出場選手全員が韓国人。現地でブートキャンプをし、万全の体制で試合に挑んでいた。敵はHanbit、即ち韓国そのものだった。

WC3Lという巨大な大会のタイトルが、韓国人によって持ち去られようとしていた。




けれども、GrubbyはGrubbyで、WC3LはGrubbyの為の大会だった。

WC3Lのプレイオフはダブルイミテーション方式。
即ち、一度負けても優勝のチャンスはあった。

4Kは当たり前のように決勝戦へと駒を進め、ウイナーズサイドを勝ち上がったHanbitとの決戦に挑んだ。1勝すればHanbitの勝ち。2連勝すれば4Kの勝ち。




そして、一戦目。
Grubbyは1vs1では2-1で勝利し、2vs2を2-0で取った。

次は、Zeus対Storm。
ハイハイ、StormStorm。
はいはい、KoreanKorean。
4Kの命運はToDに託された、、、はずだった。



ありえない事が起こった。
4K.Zeus対Hanbit.Storm、2-1。
勝者、4K.Zeus。

Grubbyは驚いていなかったのかもしれないが、フォーラムは逆方向に荒れた。
「ゼウス、お前は男だ!」「昨日ゼウスに文句言ってた奴はZeusに謝罪しる!」




もはや、ギャグの領域だった。
WC3LはGrubbyの為の大会で、4KにはGrubbyがいた。



最終戦。
Grubbyは2-0で勝った。
ToDも2-0で勝った。
Grubby&ToDの2vs2も2-0で勝った。
どれも、一方的だった。

海越え山越え訪れて、キャンプまで貼った高給取りの傭兵達は4Kの2人になにもさせてもらえないままで、WC3Lシーズン8の最終戦を終えた。Zeusはもちろん0-2で負けていた。




皮肉にも、Grubbyが最も嫌うdeadmanが崩壊させたaTから移籍したToDが、Grubbyにいくつめかのタイトルをもたらした。欧州で一番の嫌われ者が韓国から欧州を守ったようなものなのだ。まったく、お笑いである。









4K.GrubbyはFoVとToDという、文句なしに世界最強クラスのチームメイトを手に入れた。けれども、かつてGrubbyが「強い」「良い」と言い続けてきた、"安くて弱いがたまに勝つチームメイト"は、もう1人として4Kには残っていない。それどころか、WC3Lの優勝メンバーだった彼らは全員プロゲームシーンから完全に消えてしまった。まるで最初からGrubby1人しかいなかったかのように。

いや、事実4KにはGrubbyが1人いただけなのだ。
即ちGrubbyはずっと1人だった。
そしてこれからもそうだろう。

4Kと他のチームの差異は「Grubbyがいたか、いなかったか」という違いでしかない。10人20人と大量のトップランカーと契約して囲い込んだ有力チームは全て、たった1人の人間に粉々にされたのだ。

もしも仮に世の中に「金では買えないもの」があるとすればそれはGrubbyと、Grubby的なものだけだろう。仮に4KにGrubbyがいなければ資金力の無い4Kは今も尚弱小チームだったろうし、他のチームにGrubbyがいれば、そのチームがWC3Lを連覇し続けていただろう。




それを思うと、以前どこかの誰かが「強い人と練習しないと強くはなれない」「弱い奴は強い人と練習しても弱いままだ」と言っていたのを思い出さずにはいられない。

Grubbyが強いままでいられたのは、4Kがその時点で買える範囲の中で最も強いプレイヤーを買い続け、少数精鋭で不要となったものを捨て続けてきたからに他ならない。

必要でないもの以外は不要であると、捨てられる事こそが強さなのだろう。




不要な物を捨てて。
不要な情報を捨てて。

不要な人を捨てて。
不要な時間を捨てて。

不要なRSSを捨てて。
不要なブログを読むのをやめて。

さあNOW、全部捨てちまいなよ。
全てゴミ箱に放り込んで投げ捨てて。

違う世界違う場所違う人生違うインターネット。そうすれば誰だってGrubbyになれるし、そうした所で誰もGrubbyにはなれやしない。例えば僕が今ここで真性引き篭もりhankakueisuuを投げ捨てたならば僕が失うものは僕だ。grats、Grubby。